フィーゼ島のアリア人気投票特典ドリーム小説
『ラグナとの休日』




眩しいばかりの日差しがの目を覆う。
今はもう昼過ぎだろうか…?

ぼんやりとそんなことを考えていると、日差しを目一杯受けている窓の向こうで、馬の蹄の音と嘶きが聞こえた。
それにハッとしては慌てて顔をあげる。
(ら、ラグナとの約束っ!!)
彼が王宮の仕事で忙しくなる前にした約束。
一瞬でそれを思い出したは寝癖ではねた髪のままで、ベッドから跳ね起き、窓を開けた。
「ご、ごご、ごめんなさいっ!」
窓の下のラグナの姿を視界に入れると同時には大声で謝る。
しかし、意外にも下から発せられたのは笑いを堪えたような声だった。
「…ら、ラグナ…?」
恐る恐る名前を呼びかける。
「…そちらに行こう」
淡々とした口調で、返事が返ってきた。
馬をなだめてから、ラグナが急ぎ足での家へ続く緩やかな階段に足をかける。
(わっ、わわっ、私、まだパジャマだしっ!!)
その姿を視界に入れてから、は混乱したようにパジャマの上着を脱いだ。
そうして、その瞬間に鏡に映った自分の寝癖に驚き、引き出しから櫛を取り出し、髪の毛を梳く。
それから顔を洗ったり、歯を磨いたり。
目に付いたものから、手当たり次第に手を伸ばす。
だが、慌てすぎた所為か思わず足が絡み、部屋の真中でこけた。
「うぅ、…痛い〜」
強打して赤くなった額を擦る。
「ぷっ」
その瞬間、は時間が止まったかのようだった。
口を半開きのまま、呆然と扉の前に立つ彼を見つめる。
薄紫色の髪。が大好きな優しい光を放つ紫色の瞳…。
「…一体、何をしているんだか」
吹き出した笑いを堪えながら、ラグナはの姿に少し照れたように顔を背けた。
「…最優先に、まずちゃんと服を着ろ」
(…わっ!)
は自分の姿を確認して真っ赤になる。
パジャマの上着を脱いだままで、下着姿のままだったのだ。
「きゃあっ、ごめんなさっ」
は耳まで真っ赤にしていきながら、クローゼットから白いブラウスを取り出した。

「……」
「……」
ちゃんと服を着てから、はやっとまともにラグナの顔を覗く。
「…ラグナさん、ごめんなさい」
はねた寝癖を気にしながら言ったの言葉に、ラグナは穏やかな表情で首を横に振った。
「…あぁ、大事ない。…遠出なんかいつでもできるからな」
「……」
それでも、の表情は暗いままだった。
ラグナは騎士隊長ということもあって、なかなか会えない事が多い。
彼が無理をして休みを作ってきてくれていることも判っている。
だから、なおさら寝坊した自分が許せなかった。
(折角…ラグナがゆっくりできるように計画していたのに…)
密かに探し当てた秘湯の宿。
そこで二人っきりで過ごそうと考えていたのだ。
(温泉に入って…、浴衣姿のラグナが見れて…、それから…)
「…?」
「きゃあああっ!!ごめんなさいーっ!」
再びの顔が湯でタコ状態になる。
ラグナの優しい音色で現実に戻ってきたが、タイミングが悪かった。
あらぬ想像をしてしまった自分に激しく後悔をしながら、は首を横に振る。
「…いや、何がごめんなさいなのか…俺にはよく判らないのだが…」
様子のおかしいを見つめながら、彼は軽く溜息をついた。
「…、…やはり、俺と居るのは…退屈か?」
「…えっ?!」
意外なラグナの言葉に思わず目が点になってしまう。
「…いや、つまらなさそうな…気がしただけだ。…俺はあまり話す事が多いわけではないしな」
「そ、そんなっ!全然、つまらなくない!…私、ラグナといれるだけで、楽しいっ!!」
辛そうな彼の表情に声を張り上げた。
ラグナは少し驚いた表情を浮かべたが、すぐに頬を少し赤らめると、の髪に触れてから、そっと微笑む。
「…俺もだ」

開いたままの窓から優しい微風が流れ込んできて、その流れがカーテンを優しく撫でた。
その風と一緒に流れてきたのか、どこからともなく花の香りが漂ってきて、の鼻孔をくすぐる。
甘い香り。
少しだけ甘酸っぱいような感覚がそっとの頭の中に浮かんだ。
優しく触れ合った唇の感触。
淡い景色へと姿を変えていくような…。
そっと離れたラグナの唇を追って、彼の瞳を見つめる。
ラグナも同じようにの瞳を見つめていた。
の寝癖に微かに笑みを浮かべながら、ラグナは優しく腕を伸ばす。
「…愛している」
優しい力強さに身を委ねながら、は微笑んだ。
「…ずっと」
の額にラグナの唇が触れる。
「このままで。…一緒にいよう。それだけが俺の幸福だ」

微風がもう一度カーテンを優しく撫でる。
の首筋にそっと赤い花の跡。
それはきっと彼の愛の証拠だから…。


…ええっと(汗)
げふんげふん。ごめんなさい。ドリーム初がこれですよ!!(吐血)
きゃー生き恥さらした気分ですね!(いやむしろ存在自体が生き恥ですが☆)
まぁラグナ氏なのでかるーく責めてみました(ぉ)
…いいなぁ。優しい彼氏で(何爆)