トゥエルブ☆ナイツ人気投票結果・第三位フィラント
『天然奇跡路』



散るのは桜。
萌えるのは緑。
降り注ぐのは陽光。
吹き抜けるのは蒼い風。
煌めくのは水面。
囀るのは鳥。
鳴くのは猫。

輝くのは…彼の笑顔。


「フィラントくん!!」


私は誰にも聞こえないように掠れた大声で彼の名前を呼んだ。
それから呆然としている彼の腕を引っ張って、そっと草むらに身を隠す。
驚いたように声をあげようとしたフィラントくんの口を残った手で押さえて、しーっと促した。
「…っ」
目を大きく見開いて、フィラントくんはもごもご口を動かしている。
「…だから、見つかっちゃうってば!」
小声で早口にそう言って、フィラントくんを見つめる。
心なしか物凄く顔が赤い気がしたけれど、気にしないで続けた。
「エルウィンさんは勘が鋭いんだからっ!」
「…ご、ごめん」
フィラントくんが落ち着いたのを確認してから、私は溜息をつく。
そして視線の先にはエルウィンさん。
エルウィンさんの手には…猫缶。
「うーん、やっぱり純粋に猫に餌をやるって感じだけど…」
「いや、でもあの猫缶のラベル。髑髏マークだし…」
耳元でフィラントが恐ろしげに呟く。
たしかにエルウィンさんが手にしている猫缶には禍々しいオーラを放つ髑髏マーク。
「…まさか、ね?」
完全否定できない自分を呪いつつ、そんな妖しい猫缶を持って中庭を徘徊しているエルウィンさんの所為にしてみる。

…さて。
なんで草むらでこそこそ挙動不審なエルウィンさんをさらに挙動不審な動きで監視しているかというと。
たまたま偶然。
エルウィンさんが猫缶を持ってうろついているのを見つけたからなんだけど。
「あのエルウィンが…」
フィラントくんが信じられない声を上げる。
そう、あのエルウィンさんが猫に餌?
ユキトさんならまだしも、エルウィンさんが?!
という驚愕から尾行が始まったわけです。
はい。

「うぅ、俺の娘達が〜っ!!エルウィンの毒牙にー!!」
「あはは…」
落ち着いてと肩を叩きながら、興奮気味のフィラントくんを宥める。
「っていうか、アレが毒だったら、真面目にやばいし!!」
「だから、そこまでは…」
いくらなんでもそれはないんじゃない?
あの缶詰だって、何かのデザインとか。
ほ、ほら!最近では洒落た髑髏デザイン多いし?!
…とまるで自分に言い聞かせるようにうんうん良いながら唸っていると、私とフィラントくんは硬直した。
「何してるんです?」
突然目の前にエルウィンさんのアップ。
「きゃああー!!」
「うわぁぁぁぁっ!!」
二人して大絶叫。
思わず、草むらの影で抱き合ってしまう。
鼻腔にフィラントくんのつけている柑橘系の香水の匂いがした。

こんな状況なのに私はどきってしてしまう。


「…煩いですけど」
不機嫌そうにエルウィンさんは私達を睨むと、腕を組んで仁王立ちしていた。
「で、何してるんです?人の後を追ってきて」
「え、エルウィンこそ、何を?!そんな妖しい猫缶持ちやがって!!」
私にしがみつきながら、フィラントくんが声を上げた。
「あぁ。…これ、猫缶じゃないですよ?ただの毒薬です。…殺虫剤」
「…殺虫剤?」
私が問い返すと、エルウィンさんは溜息を吐きながら首を縦にふる。
「えぇ。たしかに缶詰ですけどね。
どこをどう見て猫缶にたどり着くのかわかりませんが。これは固形型の殺虫剤でどこに撒こうか考えていただけです」
「な、なんだ、それだけかよー…っ!ちゃん、勘違いしてたんだねっ」
「っていうか、猫缶って言い出したの、フィラントくんだし!!」
「あはは、フィラントは猫馬鹿が発展して、全てが猫関係に見えるようになっちゃったんですね。あぁ、かわいそうに」
思いっきり鼻で馬鹿にしたように笑いながら、エルウィンさんは私達を眺めていた。
「…ところで」
そして目を細める。
「お二人はいつまでそうやって抱き合っているおつもりですか?」

「きゃあああーっ!!」
「うわぁぁっ!」

もう一度、真っ赤になって大絶叫を発したのは…ご想像の通り。


第三位フィラント。
あはははははははははははははは(壊れた)
なんかね、抱きつかせたかっただけだ!!といったら?!(何)
そして、4位のエルウィンを絡ませたかっただけだ!!とほざいたら?!(爆)

…ごめんなさい。三作品の中でこれが一番意味不明です。