キリリクドリーム小説・191000番・綺羅様へ
『貴方に一喜一憂』



よく私は人から『苛められ体質だよね』と言われることがある。
たしかによく苛められるけど。
別に苛められ体質ってわけじゃないと思う。
だって…。

だって、私!!
『苛められるのが好き』なんだもん!!



――厨房で休憩中。
私がそう握り拳で力説すると、チイとミイという有名な双子メイドがすごく憐れんだ瞳で見つめてきた。
「…何その視線」
「「同情」」
声を合わせて、はい合唱。

…って、失礼な!!

「ちょ、ちょっと、あんたらだって萌えとか逆ハーとかどこぞの阿呆作者みたいな発言かましてるくせにぃ?!」
「だってー」
「萌え語りと、性的趣向力説はなんか違うし〜」
「くっ…!」

私とあまり変わらない身長のくせに、二人はぽんぽんっと肩を叩いてきた。
なんなの?!
この哀れみMAX対応は!!

「…っていうか、それでカイン様ファンクラブ会員No.3なのが意味不明」
ミイがふぅっとワザとらしい溜息を吐きながら、横目で私を眺めた。
「そうねぇ。苛められるのが好きなら、ヴァル様とかユキト様とか素敵な方がいるしぃ?」
「うんうん、アシュラ様とかねっ!!ウフフ☆」
チイとミイの交互の会話を聞き流しながら、私は自慢の髪に触る。
真っ直ぐに伸びた黒髪。
腰辺りで綺麗に切りそろえて。
前髪もぱっつんって感じで、直線的に揃えて眉毛にかかるかかからないかで揃えていた。
別に印象に残ればいいなとかそういうのじゃないけど。
うん、でも…いつかは私の想いが届けばいいなぁ。

「…カイン様は寡黙で、あの鋭い視線が素敵」

そう、目で殺す感じ!!
あれが堪らない。

私はたしかに苛められるのが好きだって発言したけど、言葉に打たれ弱かったりするわけ。
だから、アシュラ様に怒鳴られたり。
ヴァル様に言葉攻めみたいな台詞吐き出されて、挙句の果てにつまらないとか言われたり。
ユキト様に存在が邪魔ですとか言われたりしたら…!
へこむんだもの!!!

だけど、そんなちょっぴりM気の私を満足させて下さったのが、カイン様の視線!

えぇ、いいですよ。変態でも。
そこの変態双子メイドにまで変態扱いされても構いませんとも。

有無を言わせないあの鋭い眼光が、私のハートを射抜いたのは間違いのない事実だった。

「…カイン様」

「…自分に何か?」
「?!」

思わず、口から唾液を噴出すところだったわ。
私の前にカイン様が立っている。
恍惚の表情で呟いてしまった名前に反応を示してくれたらしい。
って、気づけばあの双子どもは厨房の隅で仕事を始めているし!!

「…ここの前の廊下を通ったら、貴女が自分の名を口にしていたので。何か、と思ったのですが」
「い、いえ…す、すみません…」

あぁ、駄目なのよ!!
私!!
目の前にすると、眼も合わせられないくらいになってしまうの!

「何もないならば、自分は戻りますが」
「…は、はいって、…い、いえ!何もなかったりしないんですけど」
「どっちですか…」

深い溜息が聞こえる。
あぁあああああぁああっ!!
その吐き出された息の波が!
空気を動かして私の髪を揺らした。
あぁあああ、だ、駄目…っ!!
た、耐えられない…っ!

「ふっ、か、カイン様…っ」
「…?」
「はうあ…っ!!」
「え?!ちょ…っ」

――ふら〜、ばたり。
そんな音が私の脳内に木霊した。




…それから後日、悪魔な双子メイドたちにからかわれたりして。
『やっぱり苛められ体質だよね?』と大笑いされたけど。
断じて!!
違う…と願いたい。

…ぐすん。


こちらは191000番を踏まれた綺羅さまへ捧げます!!
ありがとうございましたー!!
そして遅くなってしまって申し訳在りません。ぐすん(ぉ)

なんていうか、さらにMッ気たっぷり要素ですが(笑)仕方ありませんね。
新設定ヒロインちゃんでした☆
アゼライナに使えるメイド・ちょっとM・151センチ。
お相手はカイン氏。
というか、カイン氏と絡む以前に双子メイドと絡み過ぎですか(爆笑)
なかなか楽しかったです。
本当にありがとうございましたー!!こんなものですみません(土下座)