フィーゼ島のアリア〜星祭の奇跡〜人気投票1位特典
『俺だけの特権』
――と、付き合うことになってから気づいたこと。
否、薄々は付き合う前から気づいていた。
がすっげー鈍感で、さらに男女関係なく距離感がやけに近いってことに。
「スロさん、では私はこれで失礼致しますね!また何かあったら呼んで下さい!」
「はい、はい!さんっ!!ありがとうございますっ!」
ぎゅっとスロの手を握ってから微笑んだに、スロは分かりやすいくらいに真っ赤に頬を染める。
それだけで、遠目で見ていた俺はイラッときた。
「……ん?ゲル?どうしたの?」
きょとんとしたいつもの間抜け面で、俺を見上げて首をかしげてくるに嫌味を込めて深い溜息をこぼす。
ゼア先生の診療所の手伝いを今も続けているは、定期的に騎士団の手当てとかもかって出ていて。
しかも、その騎士団にはさっきのスロや隊長であるラグナという要注意人物が二人いたりする。
「ちょっと、ゲル?!言いたいことがあるなら、言いなさいよ!」
俺の溜息から沈黙で歩き出すという行動に何かを感じ取ったのか、後ろからパタパタとが小走りに俺を追いかけてくるのが分かった。
……まぁ、それがちょっと可愛いとか思ったりもするわけだけども。
「もう!私がゼア先生の手伝いを続けていることが、そんなに不満なの?」
「…………」
「前にも言ったけど、騎士団に出向くのだって仕事なんだから……!」
「……ちっ」
本当に鈍感すぎて嫌になる。
「わっぷっ?!」
ヴィアデニク王城からグラッチェ通りへ続く、長い下り道を早足で下っていた俺は不意に足を止めてやった。
後ろを一生懸命についてきていたは、案の定俺の背中に顔面を衝突させる。
ちらりと後ろを振り向けば、ほんの少し赤くなった鼻の頭をさすりながらが涙目で俺を睨んでいた。
否、見上げているから上目遣いにしかなってねぇんだけど。
「もう、本当に――」
「――仕事とかどうでもいいっつーの!ただ、ただお前に」
――グイっ
「に触れてもいいのは俺だけだって……いいてぇだけ」
掴んだ右手首は簡単に思うように引き寄せられる。
ぎゅうっとを抱きしめて、耳元で囁いてから、そっとその唇に自分の唇を重ねた。
「……絶対触らせんなよ、もう」
じゃねぇと、今度は容赦しねぇ。
リメイク版で一位に輝いたゲルの特典夢小説です!
久方ぶりに夢小説をPCで打った気がする……(笑)
いやぁ、描いていて楽しかったですよ。
私もゲル好きです。