フィーゼ島のアリア〜星祭の奇跡〜人気投票2位特典
『君の涙の止め方は』




――あぁ、本当に……
君のその困ったような表情が好きだよ。

……安心して。
この俺が真実の愛を囁くのは、君だけにだから。





「……ひっく、ぐす」

「……はぁ」

が蹲って嗚咽を漏らしながら肩を震わせているこの状況下で、幾度目の溜息をこぼしただろうか。

「うぅ、ぐすっ……!」

「……俺の。……頼むから、もう泣き止んではくれないか?」

「……だってっ!」

俺が声をかければ、の涙は悪化していく一方で。
再び流れ始めたそれに苦笑する。

本当に参ったな。

元々、女の涙は苦手で。
否、むしろ面倒くさいと言ったほうが正しいかな。

これまで、体の関係を作ったとしても、心で深く関わったことがなかったから、対処の仕方がなかなかうまいのが見つからない。

どうでもいい相手なら、きっと既に逃げ出している。

だけど、それができないのは、相手が大切な女性だからだ。

俺だけの星の女神殿――、だから。


「……仕方が無いね。わかったよ。君が泣き止むまで歌でも歌おう」

「っく、……え?歌……?」

船の甲板から夜空を仰いだ俺にが涙を止めて顔を上げる。

ふふ、これだから女の涙ほど信じられないものはない。

「……止まったかな?」

くっと喉を鳴らして笑えば、は赤面してから再び顔をうつむかせた。

「……くっ。では、女神殿の機嫌が治るまで」




歌など、滅多に口にすることはない。

誰かに聴かせるなど、以ての外。

だけど……君になら


愛する、君にだけなら。


聞かれてもいい。
寧ろ、聞いて欲しい。


……これは俺から君に捧げる、精一杯の愛情表現。





「……ぐすっ、ダーダイルさん、夕方にお会いしたあの綺麗な女性のかたとは……本当に、何も」

「あぁ、関係は何も無いよ。……彼女側が俺をどう思っているかは知らないけれど」

そっと遠慮がちに俺に紡がれたセリフに微笑む。

やっと安堵したように微笑み返してくれた彼女は、とても可愛らしかった。



「……さて」

くすり、と今度は口角を上げる。

「俺だけの?……俺の言葉を信じないなんて、いい度胸だね?さらにこの俺の手を煩わせるなんて。……わかってるのかな?」

「ひっ?!」

目を見開いて怯える彼女に疼くのは、男の欲。


「さぁ覚悟はいいね?……可愛がってがえるよ、たっぷりとね」


ダー様は連続二位ですね……?!
ありがとうございます!!

私もダー様好きだよ!ダー様!!
これからもダー様は私の中でも特別ですよー(ぇ